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アニメーター/監督 山下 清悟

アニメーター/監督 山下清悟

アニメーター/監督 山下 清悟、raytrektab 8インチに出会う

まずは自己紹介をお願いします。

アニメーターですとかディレクターですとか、あるいは撮影ですというのもなかなか言いづらいところがあって、総合的に魅力のある映像になるように調整していくという仕事をやっているというようなイメージでおります。ちょっとわかりにくい説明になるんですけど、多分名前がついてない仕事の人なのかなと。

クリエイターにとってタブレットはどんなものでしょうか?

僕にとっては頭の中にイメージがあるにも関わらず、線で描いたり画材を選択しなければならないことが多くて、絵を描くこと自体が障害だと感じることがあります。タブレットなどの入力デバイスがあることで、すごくダイレクトに自分の直感を形にできるなといつも感じています。

> 詳細は「先端異分子の解決法」の項目へ

アニメーター/監督 山下清悟

仕事の幅広さは「思い」の強さの結果

なかなか多岐に渡る仕事だと思うのですが、業界に入ってから苦労をされたこと、またはどのように今のポジションに辿り着きましたか?

そうですね、自分はいわゆるwebサイト経由でアニメの仕事をし始めた人間だったのもあり、まずアニメ制作のルールを全く知りませんでした。いろんな仕事を率先して請けていく中で少しずつ一般的なワークフローを把握していったわけなのですが、それが苦労でもあり迷惑をかけた部分でもあり…
また、今のような仕事をするようになった流れとしては、自分がもしプロデューサーだったとして、どういったクリエイターに仕事を発注すれば安心できるかと考えた時に、当然いいスタッフが揃えられるのが一番いいのですが、そういう時間やお金がなかった場合にある程度マルチにいろいろできる人間が一人いれば、いざという時にカバーが効くんじゃないかと。基本的にはそういうクオリティとか品質で価値を上げていきたいという思いが強いからこそ、今自分がやっているやり方になっているのかなというのは感じています。

映画監督のような存在でしょうか?

すごく難しい質問です。自分は基本的にアニメーションでしか映像業界と関わったことがないので、映画監督がどのような仕事をしているかというのはよくわからないですけど、基本的には同じことなのではないかなとは思います。
最近のアニメ業界ってあまりスケジュールがないことが多く、一言で言ってしまうとあまり座組みが良くないことが多いので、自分ひとりである程度作れる人でないと個性が出てこないという現象が結構起きてしまっているのかなというのは思います。

アニメーター/監督 山下清悟

台本からの想像を現実化させていくのはアニメーターさんなのでしょうか?

基本的には商業アニメだとシナリオがまず一番最初にあって、そこから絵コンテというものをディレクターが書いて、そこでやっとアニメーターが実際にどういう動きにするかなどを考えて作っていくものなんですけど、もう一つ別のルートとして、特にアニメーター出身の監督さんだったら、一番最初にまず動きというか、色だったり、シーンみたいな動き込みの光景みたいなものが浮かんでいて、それをベースにして作っていくタイプの人というのは少なからずいるのではないかなと。
たぶん自分もタイプとしては、最初に光景とかシーンとかキャラクターの感情みたいなものがあって、印象があってからそれを無理やり言語に直して絵コンテにしているようなタイプの人間だと思うので、そういったアニメーションの根源的な、生理的な気持ちよさみたいなものは結構大事にしている気がします。

先端異分子の解決法

直感、イメージを大切にしようとした時に、今の時代はアニメーターにとってやはりPCやハードウェアというのは大事になってくるのでしょうか?

基本的に作業する中で障害になってしまうものって色々あるのですが、まず自分で言うと、本当に変な話なんですけど、絵を描くことそのものが結構自分にとっては障害なんですね。イメージがあるのにもかかわらずそれを線で描かないといけないという時とか、あるいは画材を選択しないといけないみたいなところが結構意識の上で障害になることが多くて、自分の中でやっていて少し気持ち悪いみたいな…紙で描いていると特にそうなんですけど、ダイレクトに自分の直感だったりインスピレーションを画面にできないということですよね。最終出力に近い状態で確認ができない、それが結構気持ち悪いので、だからこそ3Dであったり撮影みたいなところに手を出し始めたというところもあります。PCであったりとか何らかの入力デバイスがあることで、すごくダイレクトに自分の直感を形にできるっていうのはいつも感じています。

アニメーター/監督 山下清悟

絵を描いていた昔と違い、今どきの作品ではPCに依存する部分もあるかと思います。今は山下さんはデジタル機材やそれを活かしたワークフローに関してどのような取り組みをして、どのように解決をしてきていますか?

現場レベルでワークフローがもう完成されている業界ではあるので、その中に例えばその一人だけデジタルで、いわゆるパソコンを使って作画している人間が入ってくると、あまり歓迎されないということが10年前ぐらいだと結構多かったんです。それを解決するためにどうしてきたかというと、基本的には事前の話し合いになってきます。企画に入る前から今回はこういうフローでいきます、もし問題が起きた時にはこういう解決を使いますと最初にコンセンサスを取っておくことが一番大事ですね。
独自のワークフローという意味で自分が最近やってみた試みとしては、カラースクリプトというセクションを一番最初において、まず最初に背景美術・キャラクター・ライティングを一括でまとめた従来の言葉で言うと「イメージボード」のようなものをシーンごとに作ったんです。これはピクサーなどの海外のアニメーション作品では珍しくない手法なのですが、日本のアニメーション業界においてはなかなか見かけないものです。そのカラースクリプトに対して各セクションが向かっていく形になるのでルックが安定するというか、タイトなスケジュールの中でもある程度固有のルックになる。そういうワークフローから逆算してどの様なセクションを入れたらよりイメージに近いものになるのかということを考えながらやっていることが多いですね。

失ってしまったものへの郷愁がクリエイティブに繋がる

イメージをとても大切にされている印象ですが、そのイメージというのは普段どのように湧いてくるのですか?

あの時こうしたらよかったんじゃないか、もっとこういうことができたんじゃないかみたいな、どちらかというと後悔よりのことを結構延々と思い悩んでることがあるんですけど、多分そこからです(笑)それがどういう理由でクリエイティブに繋がるのかという話なんですけど、基本的には「こうだったらよかったのに」という気持ちが一番最初にあって、それを要はアニメの中で実現しようとしているというのが多分、すべての話なり光景なりの元になっていると思います。夢ですね。要は夢の中で、幸福であったかもしれない図みたいなものが浮かぶ時があって、今はもうないけれどかつてあったものとか、もう失ってしまったけれど昔は確かにあったものみたいなところを考えて、アニメを作っていることは結構多いかもしれないですね。

常にいい道具やいいハードを手元に置いて

アニメーションの動きについて、やはり実写の動きというものが基本になるとは思うんですが、そこに対するテクニックなどがあれば教えて頂けますか?

今までのやり方の中だと、自分で演技をしていることが多いですね。
その際、想像している自分の動きと実際に撮ってみたときに出てくる動きの違いみたいなところって結構出てきてしまう部分があるのですが、それをいかに少なくするか。あとは実際に作画の中でガイドとしてロトスコープした自分の姿を置いた場合に、そこから体型だったり、そのキャラクターだったらこういうポーズをするんじゃないかみたいなニュアンスを加えながらなぞっていく作業に時間をかけてます。こういった作業はなかなか自分以上に得意な人はいないかもしれません(笑)
だから自分の撮影したあるいは他の方が撮影した映像があっても、最終的にはそれがマスターではなくて、自分の頭の中にあるキャラクターのビジョンというのがマスターになる。そこに寄せていくというのが結構重要かなと思います。

アニメーター/監督 山下清悟

いろんなデジタルデバイスが身近になってきていますが、それは作業に対してプラスになっていますか?

なっていますね。そもそも普段ロトスコープ的なことをやる時もスマホで簡単に撮ってしまうことができるようになったんです。
自分は CINEMA 4D という3Dソフトを使っているのですが、スマホで撮った動画からモーションキャプチャーをするプラグインがあるんです。いったん撮ったモーションをデータとして3Dソフト上にインポートできればカメラを自由に置くことができるので自由度が各段に広がります。本当にスマホがなかったらできなかったことってすごく多いですよね。

フレームレートなどもそうですが実写に近づくためには結構なスペックのものが必要だと思うのですが、使用するPCはどんどん新しくされているのでしょうか?

ソフトウェアの進化とともにハードの方も変えていかないと創作している上での障害になっていってしまうので、パソコンを変えて「すごく速い」とか「すごくやりやすい」となるというよりは、とにかく「遅い」とか「ついてこない」と感じる瞬間がなくなると言う感覚です。納品が近い時、「後何分でレンダリングしないと間に合わない」みたいな時に、あって良かった高スペックパソコンみたいな。本当にそういう物理的にめちゃくちゃありがたいなと感じる瞬間がすごくあって、そのためにもやはり常にいい道具やいいハードを手元に置いて作業していたいなというのは強くありますね。

アニメーター/監督 山下清悟

ハイエンド機への信頼感

raytrekに対してはどのようなイメージをお持ちですか?

カスタマイズがある程度しやすい、構成だったりを自分好みのスペックにできるというイメージがあります。

カスタマイズしたいというのは昔からありますか?

基本的に3Dソフトを快適に動かすためにというとこもあるのですが、CPUとメモリとグラフィックボードのパワーみたいなところが一番気にしているところかなと思います。
やはり体感として、ある程度ハイエンドのPCを使っていると挙動の安定感があるので、かなりこだわっていたと思います。

常に変わらぬ安定性は大切だと思うのですが、そこに対する信頼性というのはraytrekにあるでしょうか?

安定は当たり前だと思っていて、その上で何らかの特殊な作業というのが発生したとき、つまりすごく沢山のオブジェクトを同時に動かさないといけなくなった時とか、普段の使い方と全く違うくらいPCに負荷を掛けてしまう瞬間があるんですけど、その時に安心して預けられる感じ、この機体だといけるだろうという信頼感はすごくありますね。
作業中にやはりどうしても自分の脳の回転速度とPCの速度の乖離みたいなものが起きる時があって。僕はソフト行ったり来たりするんです。photoshop、aftereffects、CINEMA 4D、flashをほぼ同時に使っている時があって、さすがにそうなってくるともう通常のPCでは厳しくなってくる。そういう時にハイエンドのPCがあると、脳が回転する速度とほとんど同じ感覚で作業ができると。その時の気持ちよさというのはすごくあるなと感じます。

アニメーター/監督 山下清悟

カスタマイズができるとしたら、どんな人にオススメできますか?

映像関係の編集であったりというのももちろんそうだと思うのですが、最近は、どこまで行っても一つの作業を限定してやるということはないと思っていて、ガイドであったり調べものであったり、いろんな作業を複数同時に行うというのが定番なのではないかと思います。そういう意味で言うと、本当に普遍的に、あらゆるクリエイターの方に必要になるんじゃないかなというのはすごく感じていますね。

幸せな光景を表現したい

ご自分の夢はなんですか?

自分の視点や世界観はけっこう独特で、普通の人に話すときょとんとされてしまうようなことも多いんです。それでさみしい思いをすることもあれば、自分の視点だからこそ感じとれる強い幸福感というものにも時折出会います。涙が出てしまうような。それが少しでも分かりやすい形で、皆さんに喜んでいただける形で、作品として世に出して共有していく事が出来るといいかなと思っています。単純に自分は幸せな光景がすごく好きで、幸せな二人であったり関係性みたいなところがすごく好きで。悲しいものよりは、最終的にすごくハッピーに過ごしているという姿を見たいんです。それをなんとか自分の作品の中で表現していけるといいなというのはいつも思っています。

アニメーター/監督 山下清悟
アニメーター/監督 山下清悟

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PROFILE

実績

『ポケットモンスター 薄明の翼』監督/絵コンテ/演出

『呪術廻戦』OPディレクター/絵コンテ/演出/撮影/編集

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どこでも創作
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