raytrektab 8inch Creators Voice

アニメーター 田中将賀

アニメーター 田中将賀

アニメーター 田中将賀、raytrektab 8インチに出会う

raytrektab 8インチを触ってみて、いかがですか?

ペンタブレットでよくあるのが、自分がペン先を画面から離したと思っても尾が残ることがあるのですが、raytrektab 8インチはそれがないのが良いですね。絵を描いていてそこが最終的に一番気になるんですよね。
以前、他社のペンタブレットに意見を求められて、そのことを話したら「それはどうにもなりません」と言われてしまったこともあって(笑) もしかしたら、このタブレットと自分の描くタイミングの相性のようなものが合うのかもしれません。

スマホで絵を描けることは知っていたのですが、専門学校を訪れたときにスマホで描いた絵を提出している学生がいて、「本当に絵を描けるんだ!」「スマホと指でこんなに描けるの?」と思いました(笑)
僕ら大人はどうしても大きいものに魅力を感じてしまうんですが、今の若い子って本当に小さくて良いんだと思った覚えがあります。
本格的にやろうとするほどどうしても大きく・重たくなってくると思いますが、「とりあえず今描きたい!」という欲求に応えるために「小さい」って大事なんだろうなと思います。

アイディアを練るときは、頭の中だけではしないんです。着物を描くにしても、調べた上で描かないとわからない。その上でこの要素を大きくする・小さくすると決めるのですが、きちんと調べて描くという土壌がないとできないんですよ。だから、アイディアを練るときは描きながら調べたいという欲求はあります。他社のペンタブレットも使用してますが、半分の画面でスケッチしながら、もう半分の画面で検索して調べ物ができるというのが都合が良いんですよね。
raytrekrtab 8インチはそれこそwindows機でウィンドウのサイズを変えられるので、他社と遜色がなさそうです。

アニメーター 田中将賀

当たり前に作品を大事にすること、人との関係を大事にすること

アニメーターに至るまでのご経歴を教えて下さい

昔から絵を描くのは好きだったのですが、いとこで上手い子がいて、その子に引っ付いて絵を描いていたというのがスタートだったんです。ちょうどジャンプの黄金世代で、高校の時は夏休みを使って漫画描いてジャンプの賞に送ったりしていました。そこで何もなかったので一回諦めて理系の大学に進学し、普通に進んでいくんだろうなっと思っていたんですけど、大学の授業に付いて行けなくて挫折してしまって遊びまくっていたのですが、その最中にもう一回また絵を描き出して…みたいな流れで。その中で、当時の知識で漫画家目指してあきらめた自分でも何とかお金になりそうな絵の仕事がアニメーターしかないと思い込み、飛び込みました。

アニメーターとしてスタートし、今に至るまでのストーリーは?

アニメーターになるにしても、元々、自分に絵の才能がないなというのは、実験結果として持っていたわけです。それこそ、アニメ会社と言えばガイナックスとジブリぐらいしか知らず、専門学校の先生に「ガイナックスとか受けたいです」と言っても、結局受けさせてもらえなかったんですよ。「自分はその程度だな」と何となく思って。それでも、今思えばいい会社に入れたなと思っているんですよね。もう亡くなられましたが、『銀英伝』とか『ヤマト』でディレクターをされていた石黒昇さんという方の会社に入れて、そこで"アニメーターとは"という基礎を叩き込まれて、今でもその教えはすごく生きていて、その教えがあったから今があるんだというのはすごく感じていて。結果、いい会社に入れたんだなというのはすごく感じています。

田中さんを「田中さん」として知らしめるきっかけとは?

自分のやりたいことや自分がやれることを100%作品に注ぎ込むって、基本的には難しい仕事なんですよね。それをやろうとすると時間も足りないし、お金もかかる。色々悩んで、本当にもうアニメーターが向いていないんだなと思っていた時期があったんです。そこから脱却できたのは、人との出会いがすごく大きくて、その当時出会ったのが、『蟲師』という作品の監督をやられていた長濱博史さんとキャラクターデザインをやっていた馬越嘉彦さん。このお二方との出会いが僕の中ではすごく大きくて。簡単に言ってしまえば、僕の仕事を認めてくださったんです。やり方とか考え方とか、そういうのも含めて、「田中くん、それでいいよ」と言ってくれたんですよね。今までそんな風に、ちゃんと見て言ってくださった方はいなくて、何かそれがすごく大きかったんですよ。元請けの会社から何かリアクションをもらったことは一切なかったんですが、お二方と会って以降は、「アートランドの田中ってやつは凄いらしいぜ」という話が何となく自分の耳にも聞こえてきだしたんです。そこから割と名前を覚えていただけるようになりました。それまではそういう経験は全くなかったので。それがあってアニメーターをこれからも続けていけるかな…と。その流れでキャラクターデザインを初めてやったのですが、『リボーン』という作品にも繋がっていったと思いますし、結構自分の中ではそこが大きかったと思いますね。

認められた時は、何が良くて認められたのかご自身で自覚する事はありましたか?

今、自分がずっとキャラクターデザインの仕事をいただいていて、それこそ、僕らから「この作品のキャラクターデザインの仕事やらせてくれよ」と言って取れるような仕事ではないんです。誰かが認めて、誰かが評価してくれない限りは来ない仕事なんですよね、キャラクターデザインって。この業界にとって僕がアドバンテージを持ってるものって何だろう?と思ったら、僕は作品をすごく大事にするんです。作品が良いのなら、僕の“個”自体が消えていても全然構わないんですよ。それこそ周りが「田中さんがそんな仕事やることないですよ」みたいなことでも、僕がやることによってその作品が良くなるのだったら、全然やる。当たり前のことなんですけど、案外それができてる人って少ないんだろうなと。監督やプロデューサーたちの要求をどれだけちゃんと理解してアウトプットできるか、そういう感覚があったから評価されたのかな。何かそういうことかなぁ、と思っています。

アニメーター 田中将賀

発注者のオーダーを無視して、自分の個性を出すとアマチュアリズムになってしまう?

その辺は、本当に難しいんですよ。そこの塩梅というのは毎回違うと思います。最終的な評価って、作品を世に出してみて、それが評価されるかどうかで決まってくるので、それは難しいんです。だから、自分の個性が世の中にあっているのであれば出すべきだとも思うし、一概な話ではないと思うんですよね。だからその辺もある程度加味しつつ、自分の良さもどう上乗せしていくかですね。自分が自分が…と、自分を出したいという欲求で絵を描いて世にそれを出したい、そして褒められたいというのは根源の欲求だというのはすごく良く分かるので。そこは、ちょっと相反する考えも持たなきゃいけないというところが、どれだけ自分の中で許容できるかで、多分変わってくるのではないですかね。

同列のクリエイターたちが、何で理解できないんだろう?とか、どうしてできないんだろう?と思うことはありますか?

ありますが、そこは伝えますよ。僕は自分のノウハウを人に伝えるのが全然苦ではないので伝えるのですが、そこをちゃんと受け止められるかというのは相手次第じゃないですか。結局、自分がなりたい自分にしかなれないんですよ。だから、それに対しての後押しにならない助言はノイズのようになるから、そこはもうしょうがないところです。そこはもう、僕の責任じゃないから。それは聞きたい人が聞けば良いよって。

デジタルデバイスで簡単に絵が描ける時代

パソコンを選ぶ時はスペックなど考えられますか?

そうですね、ある程度考えますよね。メモリーの量だったりグラフィックボード的なものだったりとか。絵描きなので、映像系とかまでの神経質さはないですけども、ある程度あった方が。例えば、じっくり据置PCで絵を描く時に、モニターが何個かあって資料を広げておいた方が良い場合はそれなりのスペックが必要だったり。そこまで細かくは考えないですけど、ある程度、これ以上はあった方が良いなぁ…ぐらいですね

アニメーター 田中将賀

今はどのような仕事環境でしょうか?

自宅でもオフィスでも、どちらでもですね。ただコロナ禍でもあったので、今年は自宅が多かったです。それが簡単に可能になったというのも、デジタルデバイスで簡単に絵が描けるようになったというのがめちゃくちゃ大きいですね。

「裸の王様」ではなく、これから先に一生懸命な大人に

これまでに涙が出そうなくらいの達成感、良かったと思えるエピソードはありますか?

具体的なエピソードを出せと言われると、なかなか難しいですが、自分が信頼している、目を掛けている後輩だったり、自分が尊敬している先輩だったり、認めている同期だったりを、自分の作品に呼ぶということももちろんあって、やはり呼んだ以上は良い仕事してもらいたいし、気持ち良く仕事してもらいたい。そうなった時に、それこそ打ち上げですよね。作品が終わって打ち上げをした時に、「本当にこの仕事に関われて良かったです」とか、「また呼んでください」と言ってもらえるというのがいちばんのご褒美ですね。

アニメーター 田中将賀

これはもう作り手心理なんですけど、どんな仕事でも引き受けた以上、手は抜かないんですよ、それが大前提なんです。だからこそ、真剣にやって良いものにしたい。売れるものかどうかは分からないし、そこに対してはもちろん責任は取れない、でも、より良いもの、売れるものとか、時代にFixするものだったりを作る工程は、色んな形を経るわけじゃないですか。ある程度の設計図ができて、そこに僕らのリソースを注いで作品が出来上がっていく。その中で、最後みんなで笑って「お疲れ!」って言えるというのは、めちゃくちゃ大事だと思ってるんですよ。自分が関わる作品、例えばキャクターデザイン、総作画監督は、言うなればその作品におけるアニメーターの長です。そこでいがみあっている打ち上げの場は僕の責任だと思うわけです。そういう場にしてしまったというのが。そういう環境で出来上がったものは良いものではないとも思いますし。だからこそ、そこは凄く大事にしてますね。最終的に良いお酒が飲めれば、それで良いでしょ!という感じです。

アニメーター 田中将賀

将来の夢と今表現したいことというのはありますか?

あまりないんですよ(笑)。
"自分が評価されているのはこういうことだ"というのは、先ほどお話したんですけど、その余波というか逆の面というか…。自分も一端のクリエイターだと思っていたんですけど、何か違うことが分かり出したというか。今現在で言うと、自分から何かやりたいと言うのが本当にないんですよ。
結局モチベーションって、やっぱり相手、人なんですよ。例えば、この監督とやった時に、監督がやりたいことがちゃんとできて、それで評価がもらえるみたいなものがモチベーションです。なので変な話しなんですけど、自分が、自分がという欲求は結構満たされちゃったんですよ、そういう意味で言うと。そしてそこは自分の中でそんなに求めてないなと分かってしまった。「何が他に自分のモチベーションになるんだろう?」と考えた時に、戻ってきて、作品のためにということ、それをもっと具体的に言えばやはり、一緒に作っている監督だったりプロデューサーだったり。その中を円滑に良いものを作るとか、場を作るとか、そこでうまくいった時の達成感。それに自分の力がちゃんと入って上手く作用するんだったら、それは幸せなことなんじゃないかと。それで売れてくれたら良いな、みたいな。
ただ、欲張りでいたいので、個人の承認欲求に、この先もまったく興味がないんだとも思っていないんです。今こういう状態で、その先に自分が何に興味が持てるのか、自分がこの先どうなって行くのかみたいな事は見てみたいし。そういう意味では、まだ自分に期待しています。なので、後で言い訳はしたくはないから、今、興味があることに一生懸命になっておきたいという思いは強いですね。

それともう一つ、20代とかからしたら40代中盤の人って、遥かに上の人に当然見えるわけですよね。そういう人に対して思っていたことだったりがそのまま跳ね返ってきているわけだから、やはり若い人に恥じない仕事はしたいなと思います。
自分で言うのも変ですけど、自分がある程度有名になったり、「○○作品を作った田中さん」という言われ方をするようになってくると、『裸の王様』にされていくわけです。もう、面と向かって誰かに何かダメ出しされることが、どんどんどんどん少なくなっていく上で、なるべく『裸の王様』にはなりたくないという思いも強いというか…なるべくちゃんと仕事をしたい。
自分がやると言ったことはちゃんとやろうということだったりとか。それでもね、色々思われることはもちろんあります。それは人が決めることであって、僕が決めることではないので。でも、せめてそういう努力ができるうちはやっておきたいと思っています。

アニメーター 田中将賀
アニメーター 田中将賀

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PROFILE

実績

『家庭教師ヒットマンREBORN!』キャラクターデザイン、演出、総作画監督

『君の名は。』キャラクターデザイン/OP作画監督/原画

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