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フォトグラファー・酒井貴弘さんがraytrek XVで広げる、ポートレートの表現

フォトグラファー | 酒井貴弘さん

  • #写真

ポートレートの撮影を中心に活躍しているフォトグラファー・酒井貴弘さん。SNSを通じて知られるようになり、多くのタレント・モデルの撮影を手がけてきました。2021年5月に発売したNMB48・本間日陽さんの写真集『ずっと、会いたかった』の撮影を担当したことで話題を集めています。

やわらかな雰囲気に包まれた酒井さんの写真は、被写体の自然な表情が魅力的です。モデルの「その人らしさ」が最大限引き出されるからこそ、見る人の心を掴んで離さないのかもしれません。

被写体の内側の魅力が立体的に伝わってくる作品。

ますます活動の幅を広げている酒井さんに、クリエイターの制作をパワフルに支えるパソコン「raytrek XV(レイトレック・エックスブイ)」を使って写真編集をしていただきました。酒井さんを支える制作環境や、ポートレート撮影におけるこだわりについても伺います。

「天職だと思った」写真との出会い

酒井さんは、いつから写真を始められましたか?

写真を始める前にCMの制作会社にいたので、一眼レフを使って動画を撮影していたんです。そのときに、「せっかくカメラを持っているから写真も撮ろう」と思って始めてみました。

といっても始めたばかりの頃は、京都に行って旅行がてら趣味で紅葉を撮っていた程度です。でも友だちに写真を見せると「いいね」と言ってもらえることが多くて、もしかしたら写真が自分に向いているかもしれないな、と楽しくなっていきました。

それから写真を仕事にしようと思ったのは、なぜでしょうか。

映像は今でもたまに制作するんですが、作品として制作するには時間も手間もすごくかかるんです。でも写真の場合、撮ったらいったん出来上がり。そのつくり方が、自分の性格に合っていると思います。

これまで1つのことをあまり長く続けられなかったんですが、写真はストレスなく、素直に楽しいと思って取り組める。これは天職と言いますか、ようやく自分がずっと続けられそうな分野を見つけたので、仕事として挑戦してみたいなと思うようになりました。

フォトグラファーとしてのファーストステップは、どんなキャリアを選びましたか?

自分の好きなことを仕事にしよう、と思って写真館に転職したのが4年ほど前です。その写真館ではスキルを教えるだけでなく、写真と向き合う考え方も教えてくれました。「被写体がどういう人なのかを見て、その人の人柄を写しなさい」と言われながら練習していたら、人を撮るのが楽しくなりました。

ただ、写真館ではあくまで子どもや家族を撮る仕事がメインです。だんだんモデルさんも撮ってみたいなと思うようになったので、写真館に在籍しているときにSNSを始めてみました。フォトグラファーの方々がSNSでモデルさんの写真をアップされていたり、モデルさんもSNSをされていたりするのを見て、何かのきっかけになればと思ったんです。そのあと写真館を退職し、独立して2年弱が経ちました。

実際に、SNSは仕事につながりましたか?

そうですね、SNSの力をたくさん借りてきています。最近だとNMB48の本間日陽さんの写真集を撮らせてもらったのですが、その仕事をいただいた様々なきっかけのひとつがSNSです。本間さんが僕のInstagramを見て「こういう雰囲気で撮ってほしい」と選んでくれた、と聞きました。

独立して2年弱でアイドルの写真集を撮影されるなんて、快進撃ですね。

たしかに2年も経たないうちにいろいろな挑戦をさせていただけていて、それはすごくありがたいのですが、僕の感覚だとこれまでもこれからもコツコツと努力していかなければいけないな、と思っています。

SNSでの発信も地道に続けてきましたが、フォロワーが多いからそのまま仕事につながる、といえるほどシンプルではありません。ただ、自分が撮った写真を積極的にSNSに投稿することは、声をかけてもらうきっかけになると思います。ひとつひとつ、積み重ねですね。

被写体の輝きを引き出す舞台をつくる

ポートレート撮影時に近隣風景も取り入れて撮影。爽やかな色味と構図の気持ち良さを感じて欲しい写真。

酒井さんがポートレートを撮るときに、大切にしていることを教えてください。

人が対象なので、モデルさんに「酒井さんの前なら、自由に表現してもいいんだな」と思ってもらえたらいいなと思っています。

撮影の場面でなくても、自分の話を肯定しながら聞いてくれる人の前だと、安心してたくさん話せますよね。そうやって、安心して自分を委ねてもらえる存在になれたらいいですね。モデルさんが自分自身の存在を肯定し、「ここで自分を出していいんだ」と思えたら、その方の魅力が自ずと引き出されるんじゃないかと思うんです。

酒井さんの写真には、自然な表情が写っていますよね。

写真館で仕事していたので、家族や親しい人の記念写真を撮るような雰囲気でモデルさんを撮っているのかもしれません。フォトグラファーがモデルさんを輝かせるのではなく、輝く魅力はもともとモデルさんの中に備わっています。ですから僕は、モデルさんが自分自身をのびのびと表現できる舞台をつくりたいです。

お話を伺っていると、酒井さんにとって撮影はコミュニケーションなのだな、と感じました。

フォトグラファーと女優がタッグを組む「私が撮りたかった女優展」に参加したり、本間日陽さんの写真集を撮らせていただいたりしたことで、自分が重視していることを言語化できたように思います。この2つのお仕事で、被写体が最も魅力的に映るのは、被写体の方が自分を最高に表現できているときだと再認識したんです。だから僕はその瞬間を撮りたいと思っています。

その後もさまざまな撮影をしていたら、「こうやって楽しく撮っていただけたのは初めてです」「今までできなかった表情を出せました」と言ってもらえるようになったんです。それから、本人の魅力を引き出すコミュニケーションが僕の写真における特徴なのかな、と思うようになりました。

心の動きを届けるための制作環境

撮影に加えて編集によって酒井さんらしさが表現されていると思うのですが、写真の編集作業でこだわっているポイントはありますか?

自分が見て、心が動くか、テンションが上がるかを重視しています。現実を的確に再現するよりも、見た人の心のどこかに引っかかるといいなと思うんですよね。

ですから、「絶対にこう編集する」というようなルールを決めているのではありません。それよりも、自分が気持ちいいと思う直感を信じて作業すれば、自ずと良い写真になると考えています。

心が動く作品を制作する上で、普段はどのような制作環境で写真を編集されていますか?

ノートパソコンです。ペンタブを繋いだり、Photoshopを使ったりしています。撮影現場でカメラをパソコンにつなぐ場面が多いですし、自宅で作業するときも、パソコンをリビングに置いて子どもの様子を見ながら作業することもあります。自宅の作業部屋にはデスクトップもあるのですが、持ち運びを重視してノートパソコンを使うことが多いです。

自然光を見定め、写真の質感を大切に表現する。しっとりとした肌質が写真を通して伝わってくる1枚。

今回は、raytrekを使ってこれらの写真を編集していただきました。初めて使ってみて、使い心地はいかがでしたか?

普段使っているパソコンもカスタマイズによって高性能化しているのですが、それに匹敵する性能でした。使い始めた当初はマシンへ慣れる必要はありましたが、すぐに慣れましたね。Photoshopで保存したものをLightroom classicでもう一度読み込む作業を試したところ、150枚ほど一気に読み込んでもすぐに終わりましたし、書き出しも速くて驚きました。

それにPhotoshopやLightroom上での作業中も、操作がパソコン上で反映されるまでのタイムラグを全く感じなかったです。読み込みも、メモリーカードを直接raytrekにさしてデータを取り込みましたが、いつもより早く、ストレスなくスムーズに作業ができました。raytrekに対して良い意味で意識を向けなくて済むことは、制作を進める上で重要だと思いました。

こちらの写真も、raytrekで編集していただきました。モデルさんの存在感と透明感が際立っていますね。どのようなことを意識しながら編集されたのでしょうか。

この写真は木漏れ日がきれいな場所で撮影していて、爽やかなワンピースだったので、初夏の空気を届けられたらいいなと思いながら編集しました。撮った場所の湿度と言いますか、温度のようなものが、写真から伝わったら嬉しいです。

写真なのに「触ったらみずみずしそう」と思ってもらえるように、raytrekを使って特に肌の編集を工夫しています。生っぽいリアルな肌を表現するよりも、実際はこんな肌の人はいないんじゃないか、と思われるくらいに、肌や髪の毛で湿度を感じてもらえたらいいですね。

編集で現実以上の湿度を表現するには、どのような調整が鍵になるのでしょうか。

どんな色味にするかと、どの部分を明るくするか。この2点で、かなり印象が変わってきます。特に後者については、編集で変更できる光とそうでない光があるので、撮影の場面で光を意識できるかが重要です。「この光で撮れば、編集するとこういう表現になる」というパターンを頭に入れて撮っています。

酒井さんの写真を見て、フォトグラファーを目指す方もいらっしゃるかと思います。これからパソコンの購入を検討している方に対して、アドバイスがあれば教えてください。

後から買い直しになってしまうともったいないですので、可能な限り、スペックの高いものを買ったほうがいいのではないでしょうか。僕が初めてカメラを買ったときも、入門機ではなくフルサイズを選んで良かったなと思います。

パソコンやモニターの場合は、マシンの性能の低さが制作におけるストレスになることもあります。それに、作業が滞りなく進むことや、作品がパソコンで美しく見えることは、制作意欲に大きく影響するんですよね。ですから何を目指しているかにもよりますが、もっと上手くなりたい、写真を仕事にしたいと思ったら、できるだけ良いものを買うことをおすすめしたいです。

機材詳細

モデル:raytrek XV(レイトレック・エックスブイ/デスクトップ/一部カスタマイズ)

OS:Windows 10 Home 64ビット

CPU:Intel Core i7-11700K

メモリ:32GB※

グラフィックボード:NVIDIA GeForce RTX3060 12GB

ストレージ:512GB

※メモリ16GB→32GBへカスタム

代表的な構成の一例です。当ページの掲載内容は、在庫等の都合により予告なく変更、または終了となる場合があります。

酒井貴弘さんPROFILE

長野県生まれ。関東を拠点に活動。ポートレート・スナップを中心に、広告案件やタレント・モデル撮影、ファッションの分野で活動。特に最近では私が撮りたかった女優展への参加や、NGT48本間日陽1stソロ写真集の撮影など、俳優やアイドルの撮影に強みを持った活動を行っている。SNSではフォロワーがのべ13万人を超えるなどインフルエンスにも強みがあり、マルチに活動しながらこれまでの形に囚われない新たなフォトグラファーキャリアを模索している。