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raytrekアンバサダー写真家・井上浩輝氏、別所隆弘氏特別インタビュー

raytrekアンバサダー
写真家・井上浩輝氏、別所隆弘氏
特別インタビュー

  • #写真
クリエイター向けPCブランドraytrek(レイトレック)は、写真・動画編集に情熱を注ぐクリエイターの方々に向けたモデルの開発・発売のほか、フォトコンテストや写真・動画編集セミナーを通し、クリエイター支援などを行っています。

東京カメラ部10選でありかねてより第一線で活躍する写真家・井上浩輝氏(以降:井上)と別所隆弘氏(以降:別所)をraytrekアンバサダーとして起用し、アンバサダーモデルの監修を依頼しています。

本インタビューでは、ハイパフォーマンスなPCを使った写真・動画のポストプロダクションの重要性、アンバサダーモデルの魅力などを、おふたりに伺いました。
左 井上浩輝氏 右 別所隆弘氏
左 井上浩輝氏 右 別所隆弘氏

写真家であり、次代のクリエイターを育てている両氏

本日はよろしくお願いします。まず自己紹介をお願いします。

野生動物や自然風景を主な被写体とした写真家をしています。一方で8Kによるシネマチックネイチャー動画も手掛けており、CMの映像制作会社も運営していて、最近はやることが多岐に及んでいて何者かがわかりづらくなっていますね(笑)。別所さんとの共通点は大学の教員であること。やっと追いついたんです、別所さんに。

追いついたというけども、僕の元々の本業ですからね、それが(笑)。僕は教員をしながら写真家になった。井上さんは写真家をしながら教員になった(笑)。

いつか教員になりたい、特に高等教育機関で教壇に立つということに憧れていました。一度、写真の専門学校で教える機会があったのですが、そのときに熱心に授業を受ける外国人生徒の姿を目の当たりにして、素晴らしい仕事だなと感じたのです。

そのような価値観を持ちながら写真家として活動することは、とても有意義なことだと感じます。

たしかに「次代を育てる」という感覚は強いと思います。つい最近、今年の第一回目の講義をしましたが、カメラメーカーに頼んで学生全員分の機材を用意していただき、“カメラの使い方”という授業をしました。学生たちの反応はとても良かったですね。また昨年は航空会社にご協力いただき、鉄道車内や駅に張り出す広告の模擬制作授業もしました。実際に業務に携わっている方々にもお越しいただき、細かい注文をもとに学生たちが写真を撮ったのですが、何点かは目を見張るようなものが提出されまして、今後実際に使われることになるかもしれません。企業と学生の橋渡しができてとても楽しいですね。これは別所さんの活動を見ていて、羨ましくてやりたかったことです。

続いて別所さんお願いします。

大学の教員をしながら写真家をやっています。井上さんと共に2014年に東京カメラ部10選に選ばれ、それを機に滋賀県長浜市からの依頼を受けて季節の写真を撮るようになるなど徐々に撮影の仕事が増えていき、2017年頃からはプロの写真家として活動しています。自治体の仕事からスタートしていることもあり、コンサルタントや運用のディレクションもすることがあり、写真家という表のプレイヤーとしてだけでなく、裏方で屋台骨を支える仕事もやっています。撮るものは井上さんが撮るもの以外のだいたい(笑)。つまり、ネイチャーおよび人物以外ということですね。特に風景、飛行機、花火に重きを置いています。あ、飛行機は井上さんと被りますね。

僕と別所さんは2014年の東京カメラ部10選の写真展で隣同士だったんです。思い出しますね。僕の写真を見ているのはひとり。残りの人たちはみんな別所さんの方を見ている。この差はすごかった。カルチャーショックでしたよ。

その話、もうやめて!(笑)。僕は僕で井上さんの写真に衝撃を受けていました。同じタイミングの10選でこんな本物の写真を撮る人がいるなんてね。僕の写真は人目を引くような撮り方と仕上げ方をしている写真なので見てはもらえます。別の言い方をすれば、いま以上に“いいね”をもらいやすい写真だったと思います。でも、井上さんは僕の横でガチの高みを目指す写真を展示していました。これは敵わないと。

仕上げ方の方向性は違うものの、当時から僕らは「ゴリゴリにPCを使う」という点で共通していました。その頃、別所さんは大胆な編集をすることで話題を振りまいていましたが、実は僕も設定を大きく変更するということをしていたんですよ。それには理由があります。Photoshop LightroomでもDaVinci Resolveでも、一度はスライダーをMAXで動かさないと、どんな効果がどのくらい出るかが理解できません。効果を理解した上で、この写真では効果をどのくらい与えようかということをやるのが編集なんです。これを繰り返していけば、スライダーをいじる幅もわかってきます。

別所さん

カメラ・レンズと並ぶ「撮影機材」であるPC

おふたりとも、初期の段階から創作活動の中にPCでの現像・編集という作業の比重が大きかったということですね。

現場では連写撮影を当然のように行い、PCで何百枚もの中からたった1枚を見つけ出していきます。そしてトリミングも当たり前のようにします。現場で撮影をして、自宅に戻ってからPCでもう一度「撮影」をするようなものですよね。現場での撮影には良いカメラが必要。家での撮影には良いPCが必要。撮影機材そのものであれば、スペックにこだわるのは当然ですし、カメラやレンズは新機種が出たら買い換えるのと同じで、PCも数年でアップデートしていかないとカメラに追いつけなくなります。

撮影をするまでが仕事なのではなくて、撮影後までが仕事。撮影そのものの比重は半分以下かもしれないですね。そのくらいクリエイターの人々にとってはPC作業はないがしろできないものだと思います。僕らはこれが当たり前すぎて忘れがちですが、学生を相手にするとPCの性能の大切さを改めて思い出させてくれます。学生たちはお金がないから、安いPCを中古で買ったりするんです。最近のカメラはエントリーモデルですら2000万画素以上あって、それをRAWで撮り中古PCに取り込むと、「先生、レイヤーふたつでもう動きません」ってなるんですよ。

プリインストールされた訳の分からないソフトがいくつか知らぬうちに起動していたりね(笑)。

そうそう、起動時点でメモリがカツカツになっていたり。生徒には、ボディとレンズを買ったら、その後にまたレンズにいくんじゃないと。作品をうまく仕上げるために一定以上の性能を持つ良いPCを買えと伝えています。

動作が重くなるとわかっていたら、誰も編集したいとは思いませんよね。でも機敏に動くPCでさまざまな調整を試していくと、JPEGでの編集、10bitでの編集、12bitでの編集でのさじ加減が身についてくるんです。写真を仕上げるためには、最適な編集を見つけ出していくのが大切なのに、PCの動作が重ければ元も子もありません。最近の14bitのRAWはデータの懐が深くなった分、スライダーを大きく動かさないと効果が現れづらくなっている感じがあり、なおさらPCの応答性は重要になってきていると言えそうです。

14bitはグラデーションが豊かに出るから少々の調整では差が見えづらいんですよね。最新カメラの重たいRAWデータを編集するには、PCに十分なパワーがないとスライダーの効果を即座に反映することができず、ちょうど良い設定を見つけることが難しくなるというマイナス面もあります。さらにレイヤーが増えれば増えるほどダイナミックな動作は難しくなってくるわけで、本当にPCのスペックは重要です。

プロとしてのPCへのこだわりとraytrekへの信頼感

写真家としてPCに求めるものは何ですか?

スピードと信頼性ですね。大量の写真や長い動画の納品が迫っているようなギリギリのとき、「シャワー浴びてくるからそれまでに書き出し終わっててね」、みたいなことができるのがraytrek。趣味でやられている方であっても、翌日は仕事があるだろうし、家族で過ごす時間もあるだろうし、趣味に使える時間は無尽蔵じゃないはずなんです。とにかくスピードと信頼性は大切です。例えば僕のYouTube動画は、かつてのPCでは書き出しに18分かかりました。それがraytrekだと7分で済みます。20時にYouTubeに4K60Pの動画を公開するとなると、YouTubeサーバのエンコード時間を逆算して、少し余裕を持って19時にはアップロードを開始しておきたい。しかしミスに気付いたら再エンコードをしないといけないから、1分でも早く作業は終わらせたいわけです。ミスを見つけてもraytrekなら大丈夫。帰宅する荷物を整理している時間でまた書き出してくれます。「raytrekなら大丈夫」って、キャッチコピーみたいですね(笑)。

SNSには最適な時間というのがあって、18時から20時半くらいのあいだに出さないと誰にも見てもらえないんですよね。撮影をして編集をするという時間は実はかなり限られています。特に桜の時期や花火の時期など、鮮度が大切なものだとなおさら。花火の撮影だと、raytrekのノートPCを山の上に持っていきますからね。現像時間は3分です。花火って終わるのが20時30分から21時。30分も現像に時間を掛けていたら遅いんです。その日の熱が終わる前に写真をアップロードする。アマチュアでも風景写真を撮っている方はその重要さをわかってくれるはずです。花火の煙がまだ残っているあいだに、SNSで公開したいじゃないですか。

raytrekのPCはおふたりにとって唯一無二の存在でしょうか。

僕のかつてのメインPCは、いまでも写真だけならば戦えますが、こと動画となると途端に処理が重くて厳しい。H.265の動画圧縮規格もアンバサダーモデルのハイエンドなら、8KのH.265も余裕を持って取り扱えます。今後もさらに写真と動画の垣根がなくなってきますから、他のPCは選べないですよ。

2年ほど前に4K60Pの動画をはじめるようになってからはraytrek以外に選択肢がなくなりました。僕もときどき8KのRAW動画をいじることもありますが、そうなるとraytrekのモンスターマシンがクリエイティブのど真ん中になってきます。

未来への投資となる新たなアンバサダーモデル

さて、アンバサダーモデルは現在、ノートモデル「R5-AA6+」、ミドルモデル「4CXVi+」、ハイエンドモデル「4CZZ+」というラインアップになっています。新モデルのポイントを教えてください。(2023年5月現在)

今回はGPU(Graphics Processing Unit)が新しくなっています。クリエイターが使うソフトウェアがCPUにではなくGPUをいっぱい働かせていこうという傾向にあり、特に動画編集の領域においてはGPUの性能が不可欠になってきています。そのリクエストにダイレクトに応えたモデルになっているのが「4CZZ+」ですね。効率が一気に跳ね上がります。

Photoshop Lightroomがノイズ処理にAIを投入してきたじゃないですか。これからはどのソフトウェアもAIが関係してきます。そうなってくると、GPUの性能とメモリというものが非常に重視されることになり、ダイレクトにクリエイティブの作業効率に影響を与えてくるはずです。このときに「4CZZ+」のように最高レベルのGPUパワーがあるというのは大きなアドバンテージですよ。

写真がメインの方の場合、グラフィックボードを重要視せずにPCを選んでいて、オンボードで編集作業をしている方もいると思います。まだGPUを高性能にしなければ動画はもちろん、写真の編集も今後は難しくなるということが浸透してはいませんが、ここは対策を取っておくべきポイントです。学生のあいだでは、高性能なPCを探すときに、取り敢えずゲーミングPCを買えばいいというような流れがあるじゃないですか。グラフィックボードを重要視するという点から、それはあながち間違いではないと思います。クリエイター向けPCとゲーミングPCとでどこに違いがあるかと言えば、それはディスプレイの違いくらい。クリエイター向けPCはゲームのようなディスプレイ応答速度ではなく、色の正しさが求められます。

おふたりが重要視されているスピードもさらに進化したのでしょうか。

Thunderbolt 4や10ギガビットイーサネットなどを搭載することで外部機器との応答性能が向上しています。いくらCPUが優れていても、外部機器との間でボトルネックを引き起こしたら意味がないので、ここは譲れなかったところですね。

マザーボードも、Thunderbolt 4 仕様のSSDを接続してもそこがボトルネックになることなく、凄まじく速く処理してくれます。

あとクリエイター視点がより強まったなと感じたのは、デスクトップモデルの掃除がしやすくなっていることですね。簡単に筐体を開いて掃除することができるようになりました。またコネクタが斜め上向きに付いているので、SSDなどを接続しやすくなっている点もうれしいですね。使い心地に直結するような改良がなされています。

ここ数年に渡ってraytrekの方々と話して、こちらが言ったものを吸い上げていただき、まとまったのが製品に詰まっています。たぶん、大変だったと思います(笑)。

AIを見越したGPUの性能向上、8K動画も取り扱えるパワーなど、これから先の環境の変化を先取りした内容です。

その通り。未来に対してしばらく時間を買うことができるのがハイエンドモデルの「4CZZ+」。いま存在する作業が限界でギリギリできるのではなく、余裕を持って作業することができますし、これから本格化していくGPU性能が必要な作業にも対応できます。そして10ギガビットイーサネットに対応しているのでサーバにもなるという。

ノートモデル「R5-RL6+」やミドルモデル「4CXVi+」も、写真はもちろん4K60Pまでの動画なら十分にこなせますし、さらなる上を求められたときに機材を追加することができるベースにもなります。拡張性も考慮しつつコストパフォーマンスに優れているので、8Kはやらないという方には間違いなくオススメです。

ミドルモデル「4CXVi+」とハイエンドモデル「4CZZ+」の大きな違いは、グラフィックボードの性能差。ただ、8Kを触る機会というのは多くの人にはほぼない。プロのクリエイターであっても、クライアントからの大抵の依頼を「4CXVi+」でこなせると思います。最先端で戦いたいという人は「4CZZ+」。未来を買いたい人向けです。

本当、普通は2年ほどで買い換えを検討しないといけませんが、「4CZZ+」なら5年は戦えるスペックだと期待できる。中途半端なものを買い、すぐに使えなくなるくらいなら「4CZZ+」の方が最終的に安いかもしれません。

それにしても、全てのクリエイティブ作業にAIが絡んでくる時代がすぐそこまでやって来ました。怖いのは端末の能力で仕事の範囲が決まってしまうこと。いまの若手はChatGPTやインボイスですら無関心なことがあり、情報に対する感度が低いんですね。それはカツカツで生きているから。そのカツカツが次のカツカツを生む。だから、とにかく対応していけよと声を大にして言いたいです。良い端末、つまり良いPCを持つことが未来にも関わってくる。スマートフォンで完結させようとしないで、あらゆる作業のベースとなるPCは良いものを使うべきだと思います。

そう、スマートフォンはクリエイティブにおいては「スマホでもできる」という表現でしかないですから。スマホでの作業をスタイルとして採り入れて、そこに価値を生んでいる方はいいと思いますが、画像編集も動画編集もスマホでもできるけれども、できることは限られているのが現状です。

井上さん別所さん

raytrekのPCを通じて最先端に触れる楽しさ

raytrekの企業理念、活動、商品に共感する部分はありますか?

raytrekのPCを初めて立ち上げたときの、「性能は用意しておきました、あとはみなさんの望む使い方でどうぞ」、というようなシンプルさが好きです。Photoshop LightroomやDaVinci Resolveをインストールし、NASを繋いで作業を開始すればいい。他のPCでは、ドライバーをインスト−ルしろとかいわれ、こうはいきません。クリエイティブを発揮するための環境が最初から準備されているんです。そしてWebやSNSでサポート体制も充実していますし、フォトコンを開催したり次世代の写真家を応援しようともしている。あらゆる面で頼もしいなと思います。

僕は自作PCを作るのが好きだったんですが、自作PCでのゴールがraytrekに用意されているという感じがします。自作をすることで得られるコストパフォーマンスの高さ、自分が必要な性能が手に入るメリットに加えて、目に見えず概念的な「信頼性」すらもワンパッケージになっているわけですから、それは素晴らしいですよね。そんなメーカーのアンバサダーをやらせていただくということは光栄で、数ある仕事の中で指折りに好きな仕事です。撮影者としては最先端をクリエイトできていると自負しています。それならば、両輪のような存在のPCも最先端に触れていたいじゃないですか。

本来はアンバサダーというような肩書きは背負いたくないタイプなんですが、アンバサダーの活動を通して最先端に触れられ、自分自身がアップデートされるのは本当にありがたいことだと思っています。8KやRAW動画などに対して自然と興味を持つことができますし、それがどの程度のマシンパワーで動くかも肌で感じられるわけですから。あと、raytrekのクリエイターに対する姿勢も大好きです。僕がSNSで写真展の告知などをすると、きちんと“いいね”をしてくださって、クリエイティブをきちんと見ているんだなと。このあたりはクリエイターだからこそ敏感。raytrekを見習って、僕が携わる案件では自社に関わることではない部分にも目を配るように話しています。

同じくです。まさに僕も航空会社の担当の方とお話をしたところです。お客様の『飛行機に乗ったよ』という投稿にだけ"いいね"をするのではなく、その旅が終わるまで"いいね"ができると素敵ですよね!と。

本当にただPCを売るだけの会社じゃない。クリエイターの活動そのものを見てくださっている会社なので、写真や動画をやられている方々はぜひ、raytrekを信頼して選んでいただきたいです。

raytrek 東京カメラ部10選 井上 浩輝氏・別所 隆弘氏 アンバサダーモデル
raytrek 東京カメラ部10選 井上 浩輝氏・別所 隆弘氏 アンバサダーモデル