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楽曲制作時の思考や
マインドセットに迫る

音楽プロデューサー|原口沙輔さん

  • #DTM

「10min DTM」にチャレンジした感想を教えてください。

今日までの間に、体感で10分というのを想像してみたんですけど、やっぱり本番では思っている半分くらい短かったですね。自分は作業の工程の順番が毎回入れ替わってしまうので、それによって思ったよりできた部分もあったり、できなかった部分もあったりで。作業中に10分を測ったことってあまりないので、自分でも参考になったというか。「10分でこのぐらいできる」っていうデータになってめちゃくちゃ面白かったです。

10分間の完成形はどのようにイメージしていましたか?

本当にふわっとした雰囲気みたいなところしか決めていなくて、作業中は音色を選ぶのもその時々で、聞いてみての感覚だったりしたので、自分でも想定しないところに行っちゃって。

制作において特にこだわった点はありますか?

やっぱり手癖で素早く作っていくとどんどん次々重ねていくことになるので、重なりの気持ち悪い部分がどうしても出てきてしまうんですけど、そこをどう取り除いておくかというか、そこに注意すればあんまり音を重ねていなくても、処理が少なくても聞けるものになるんじゃないかなと思い、時間をかけるようにしました。

さまざまなDAWがある中で、どうしてAbleton Liveを使用されているんですか?

一番最初はループ素材を組み合わせて作る初心者向けのソフトを使っていて、それからオリジナルのメロディやコードを使いたいなと思った時に、その頃の僕はMIDIの存在も知らず、ループ素材から欲しい音を一音一音切り出して並べていくというようなことをしていて。その方法でステップアップするとなると、波形編集やオーディオの編集に特化したDAWがほしい。調べていくと、Ableton Liveがいいんじゃないかとわかったんです。買ってみて、あとからMIDIの存在を知りました。

Ableton Liveを使われていて、気に入ってる部分があれば教えていただけますか?

今日もプリセットのみでやりましたけど、EQやコンプといった基本的なエフェクト類から、ちょっと変わったことができるプラグインまで、正直これ以外いらないぐらいまで最初から揃ってるんですよね。あと、UIや操作性といった面でも自分の肌に合っていると思います。他のDAWだと作業効率が半分になるんじゃないかってくらい、使い込んでいますね。

今回は卓上の鍵盤とキーボードとマウスだけで制作されましたが、ここに置いてあるような実機のシンセサイザーも普段使うのでしょうか?

稀に使うことがありますが、できるだけいろんなものに頼りすぎないようにしていて。自分の頭の中で鳴ったものを出していく過程で、「この部分はこの楽器で埋められるんじゃないか」みたいな、必要になる時があるんです。まずは手元だけで出していって、足りない部分を補うために実機や他の楽器を録音することが多いです。

主にイヤホンを使って制作されていると伺いました。スタジオヘッドフォンでもなく、モニタースピーカーでもなく、イヤホンがメインというのはどうしてでしょう?

ヘッドフォンを使っていたこともあったし、モニタースピーカーで作業していた時もあったんですけど、車でもスマホでも、他の環境で聞いた時に音質や帯域の差があるのがずっともどかしく感じていて。それでいろいろ試していった結果、今僕が使っているイヤホンに落ち着いたんです。自分が出したい音がどこでも出せるようになりましたね。

DTMはどのように学びましたか?

最近はYouTubeやネットの記事で十分いい情報が集められますけど、僕が始めたての頃は調べても日本語がサポートされてなかったり、そもそも外国語でも情報がなかったりして。だから本当に試行錯誤というか、たとえば今だったらサイドチェインという言葉もやり方もわかるけど、当時は知らないからサイドチェイン的なことをするのにボリュームのオートメーションを書くという力技でやってみたり。でも、そういう応用から独自の手法が生まれることもあって、自分の場合はそこからどんどん手を広げていった感じですね。

『アセトン』以降の楽曲では特に激しい音や不協和音が取り入れられていますが、それはどのような変化があったのでしょうか?

「いい音楽を作る」という意識から、「気持ちで音楽を作る」ということに変わっていったことが原因じゃないかなと。で、その気持ちというのがそんなにまろやかじゃなかったら、まろやかな音にはならないですよね。感情が激しいなら激しいまま表すことを考えながら音を作っています。

今回使用したPCはスリープフリークス監修DTMモデルです。スリープフリークスについてはご存知でしたか?

お世話になってます。YouTubeでよく見ます。

DTMに必要なスペックを備えているというのはもちろん、主要DAWやプラグインの動作検証が事前にされているというモデルです。使ってみていかがでしたか?

今回お借りしたPCを使って半日くらい経ってから、「そういえば音がしないな」って思って。すごい静かなんですよね。なんかその静かさにすごみを感じました。それに動作の一つ一つが早くて、ストレスなくいろんな作業が進められそうでよかったです。普通に欲しくなりました。あと、動作検証済みなのは嬉しいですね。なにか買うたびに不具合って起きるので。条件は揃っているけど認識しないとか、いろんなパターンがありますけど、毎回どこがダメなんだろうって試しながら一日半とかかけてようやく機材が使える、みたいなことが多くて。それから、これはただのミスなんですが「何やってもダメだ!」ってパッケージ見たらOSが違っていたなんてことがあります。

そうした経験はいつ頃からあるんですか?

小学生くらいからインターネットでMIDIコントローラーとかソフトを自分で調べて買ってもらったんですけど、そんな機材は家族の誰もわからないんですよ。だから家に届いてみてから思うようには使えない経験というのはその頃からありましたね。今となってはMIDIコントローラーだったら大体こういうプラグインが付いてきて……ということがわかるんですけど、最初は全くわからないので。だから「検証済」の一言があるだけでも安心感は全然違うんじゃないかなと思います。

今後作っていきたい音楽や、音楽に限らないクリエイティブについて、なにか考えていることがあれば教えて下さい。

音も映像もひっくるめて面白い作品にしていけたらいいなと思っていて。実物の動くものがあってもいいですし。音だけじゃなく、いろんな面から体感できるものを作りたいです。音は全てデータから作らないといけないですけど、それに限らず自分の手で作れたらいいなと思ってます。

最後に、これからDTMを始めようと考えている方や、DTMに取り組んでいる方々にメッセージをお願いします。

自分が聴いて好きだったら何でもいいと思うので、人から聞きづらいとか言われても気にせずに、自分の音を貫いて、破壊しましょう。

機材詳細

MC13659

モデル:raytrek スリープフリークス監修 DTMモデル Esus4

CPU:Core i7-14700KF

メモリ:32GBメモリ

グラフィックス:GeForce RTX 4060 8GB

ストレージ:2TB Gen4 SSD

原口 沙輔(2003年5月21日 - )

日本の音楽家、作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、エンジニア。
14 歳の頃原宿での路上ライブが SNS で拡散、 注目されたことがきっかけでメジャーデビュー。 その後、新しい地図 join ミュージック(稲垣吾郎、草なぎ剛、 香取慎吾)、郷ひろみなど様々なアーティストへの楽曲提供やBuffalo Daughter、m-flo、久保田利伸、大塚愛、ウマ娘、中塚武などの リミックスワーク、テレビ番組やゲーム音楽の制作、Apple 他 TVCM 曲の制作提供、 演劇、プロデュースなども手がける。東京 2020 パラリンピック閉会式に出演し音楽制作も担当。

原口 沙輔

原口沙輔さんに挑戦いただいた10min DTMはこちらから

10min DTM powered by raytrek